コラム - 第4話


第4話 - 悩める友に贈る  by 矢萩 秀明

自分の明日を信じることができなくて
道に迷う君
君は自らに「無理なんだ、諦めろ。」と言いきかせる
その瞬間、君の精神は一つ老いる
自分に嘘をついた分だけ君の精神は老いてゆく
そして生きる屍のように
心が空虚になり
この世界も輝きを失ってしまう

君は毎日の生活の中に埋もれていく
しかたがないんだとつぶやきながら
心の奥底で叫ぶもう一人の君には目をそらしたまま



 あるミュージシャンからお手紙をいただきました。私のコラムを読んで共感し、新たな人生の戦いに挑んでいこうとの決意にあふれるものでした。上の詩は、その方の感じていた事を想像して書きました。

 現代の不況にあえぐ社会は、芸術よりも職を、形の無いものよりも具体的な物質を求めています。ミュージシャンにとっても生きていくのが難しい時代です。多くのミュージシャンが職を失い、自分の運命を呪っています。出口の見えない不安を酒で紛らわせ、愚痴をこぼしては返って自分をみじめにしています。人は逆境の時にその真価が分かると言います。

 自分をありのままに見つめてみましょう。透き通った湖の湖底に月の光が差し込んでいくように、静かに深く。内なる自分が何を欲しているのか。お金や財産?名誉や名声?地位や権力?たぶんどれも違いますね。それらは絶対的な幸福ではないから。あなたはそんなもののために生まれてきたわけではないでしょう?私の師匠はこう教えています。「理想に向かい現実と戦う毎日の中にこそ真の幸福・充実感があるのだ。」

 自分が成し遂げようと思うことがあるのに戦わないのは臆病者です。私も理想に向かい戦います。色々な困難がありますが、一番の敵は自分自身です。

 ただ人間は弱いもの。孤立と分断は不幸です。目覚めたミュージシャン達のネットワークが大切だと思います。励まし合っていきましょう。
戻る | 第5話へ
Copyright (C)2001-2005 Hideaki Yahagi. All right reserved.
当ページに掲載されている全ての画像、文章、データの無断転用、転載をお断りします。