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コラム
第18話 ボリューム・ペダルについて  by 矢萩 秀明


色々なエフェクターがある中でアマチュアンの人が一番その存在意義が分からないものが「ボリューム・ペダル」だろう。
音量を操作するだけのものなので本来は意図的に音色を変化させるものではないのだが、その品質によって意図しない音質の変化(劣化)が多少は避けられない。

*ボリューム・ペダルの使用目的。メリットとデメリットについて

ボリューム・ペダルの使用目的はいくつかある。
これはボリューム・ペダル使用のメリットと言えるだろう。
私はこのメリットのためにボリューム・ペダルは必需品になっている。

メリット
1、演奏しながら同時に音量を操作できる。
2、演奏をしていない時にノイズをカットできる。
3、電気楽器としての表現方法を駆使できる。

もう少し詳しく説明しよう。

1、演奏しながら同時に音量を操作できる。

ボリューム・ペダルを使わないで音量を操作する時には、右手(右利きの場合)でボリューム・ノブを操作しなければならない。そのため右手が一時的に演奏を止めなければ鳴らない。
しかし、ボリューム・ペダルを使えば、足で操作するので両手は演奏を続けられる。
いわゆる「ヴァイオリン奏法(ボリューム奏法)」やペダル・スティールの演奏を真似た「スティール・リック」、トレモロ・エフェクトも楽に行える。
演奏しながらのクレッシェンドやディミヌェンドなどのダイナミクスのコントロールもよりダイナミックに表現できる。
また各セクションごとの音量バランスを調整することにも役立つ。
ボリューム・ペダルのミニマムを設定するツマミを調整してペダルを絞った時に、音量が0になるのではまく、バッキングに丁度良い音量になるようにセットする。
そして、バッキングの時はペダルを絞り、ソロでは全開にするわけだ。(ちなみに、私はあまりこの使い方はしない。)

2、演奏をしていない時にノイズをカットできる。

この目的自体がとてもプロ的だ。
アマチュアの人のライブなど見ると曲間や演奏中のブレイク時にジーと言うノイズを出しっ放しの人がほとんどだ。
まあ、曲間はギター本体のボリュームを絞れば良いのだが、その場合でも演奏が始まる直前は本体のボリュームを上げるのでノイズがでてしまう。
また、曲の中でブレイクした場面んどでも、完全な無音状態を作れずブレイクの効果が半減してしまう。
プロはこうした場合、ノイズは自己責任と捉え、こまめにボリューム・ペダルを操作してノイズをカットするのだ。
ノイズをカットする方法としてはノイズゲートやノイズサプレッサー(ノイズリダクション)を使う方法もあるが、これらの使い方についてはまた別の機会に解説する。

3、電気楽器としての表現方法を駆使できる。
普通、アコースティック・ピアノやドラムなどアコースティックな楽器は、音量と音の強弱が一致している。
例えばアコースティック・ピアノの場合、大きな音量を出すためには鍵盤を強く打鍵しなければならない。すると音量が大きくなるだけではなく音の表情も強く力んだ音に変化する。
逆に、弱く打鍵すれば音量は小さくなるが音の表情も弱く優しい音になる。
アコースティックな楽器はこのように音量と音の強弱が一致している。だから「f(フォルテ)」は音量が大きいことだけを示すのではない。「大きく強く」を意味している。反対に「P(ピアノ)」は「小さく弱く」を意味する。
だからアコースティックな楽器では、「弱くて大きい音」とか「強くて小さい音」と言うのは矛盾していて出せないことになる。
しかしエレクトリック・ギターのような電気楽器ではボリューム・ペダルを使うことによりこの矛盾した表現が可能なのだ。
プロはピッキング・タッチとボリューム・ペダルの関係性の中でいろいろな表情の音を作ることができる。
この辺りは実際に曲の中で演奏した音を聴いてもらわないと伝えにくいことだ。
例えば、囁くような微妙なタッチで演奏する場合はボリューム・ペダルをかなり踏み込む(音量を上げる)。
また、歌のバックでリフを弾くような場合はタッチは強めでボリューム・ペダルを絞る。
だいたいこのようにタッチを弱くした時はペダルを踏み、タッチを強くした時はペダルを絞ることが多いが、おんな単純なものではない。文章では説明がむずかしいのだ。


さて、ボリューム・ペダルを使うデメリットもあるj。

1、ライブ・パフォーマンスなどでステージを自由に動き回ろうとしてもボリューム・ペダルを固定した位置に束縛される。
2、配線が増え音質劣化やトラブルの可能性が増える。

*ボリューム・ペダルの接続位置について

ボリューム・ペダルの接続位置については主に次の2つが考えられる。

1、ギター本体のボリューム・ポッドの代わりに使う場合
2、マスター・ボリュームとして使う場合

1、ギター本体のボリューム・ポッドの代わりに使う場合
 ギブソンのようにギター本体のボリューム・ポッドが操作しにくいギターの場合はボリューム・ペダルを使用することによりずいぶん演奏がらくになるだろう。ストラトキャスターなどのようにギター本体のボリューム・ポッドが操作しやすいギターでもやはり同じことが言える。
この場合、ボリューム・ペダルはギター本体の直後、足下のエフェクターの直前につなぐ。
特に歪み系エフェクターの前につないだ場合、ボリューム・ペダルの音量操作により歪みの深さをコントロールできる。
歪み系エフェクターの性能にもよるが、うまくすればクリーンからオーバードライブ、クランチからディストーション
へと無段階に変化させることができるだろう。
ボリューム・ペダルを絞れば歪みが浅くなり音量も下がる。逆に、ボリューム・ペダルを踏み込めば歪みが深くなり音量も上がる。
ただ、この使い方の場合、ノイズのカットは十分にはできないし、歪みが深くて小さい音や歪みが浅くて大きい音は出せないことになる。

2、マスター・ボリュームとして使う場合
ボリューム・ペダルをマスター・ボリュームとして使う場合は歪み系エフェクターの後、ディレイやリバーブなどの残響系エフェクターの前が良いだろう。

上の図のVolume PedalとDistortionの配置を逆にしてください。

コーラスなどの空間系エフェクターは残響系エフェクターの前にするか後にするかでその効果が大きく異なる。残響系エフェクターの前にするならボリューム・ペダルの前に、残響系エフェクターの後にするならボリューム・ペダルの後、さらに残響系エフェクターの後につなげば良い。
ただし、ブレイクした時などに残響をまったく残したくないならすべてのエフェクターの後につなげばいい。


*ハイ・インピーダンスかロー・インピーダンスかについて

インピーダンスとは簡単に言うと「信号に対する抵抗値」のことだが、実際はそんなに単純なものでもない。
次のサイトに分かりやすい解説があるので参照してください。

 http://www.ceres.dti.ne.jp/~warnerg/SHOBI/TOSS/09/imp.htm

エレクトリック・ギターから出る信号は基本的にハイ・インピーダンスですので、ギターのすぐ後にボリューム・ペダルをつなぐ場合は、ハイ・インピーダンスのモデルを選ぶと良いでしょう。「BOSS FV-500H」などのように型番に「H」とあるものはハイ・インピーダンス、「L」とあるものはロー・インピーダンスのモデルです。同じメーカーのボリューム・ペダルでも、ロー・インピーダンスのモデルとハイ・インピーダンスのモデルがあるので注意しましょう。

ハイ・インピーダンスのモデルは、ギターの直後につなぐため、ハムバッキングPUとシングルPUの平均値を取って250KΩのボリューム・ポッドを使用したものが多いようです。インピーダンスは複数の機器を接続する場合、「ロー出しハイ受け」と言われるように出力側のインピーダンスが低くなるようにする必要があります。
エレクトリック・ギターはインピーダンスが高いので他の機器(ミキサーなど)に接続する場合は注意が必要です。
機器によっては、「ハイ・インピーダンス端子」や「ハイZ端子」などと呼ばれるギターを直接入力できる端子が用意されています。
エレクトリック・ギターからエフェクターにつなぎ、その後にボリューム・ペダルをつなぐ場合は、エフェクターのアウトはロー・インピーダンスになっているので、ロー・インピーダンスもボリューム・ペダルを使います。
このマッチングがうまくいかないと、音が痩せたり、ハイ落ちしたり、音質が変わったりします。

T-Soundというサイトに分かりやすい解説があるので参照してほしい。


 http://t-sound.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_c069.html

*製品について

各社から様々な製品が出ていて、材質、大きさ、重量、シャフト式とひも式、ストロークの短いものと長いもの、ペダルの踏み応え、踏んだ時の感触、硬さ(重さ)などそれぞれ特徴がある。
プラスチック製やアルミダイキャスト製の軽くて小さなタイプと金属ボディやアルミダイキャスト製の重くて大きなタイプとがあるが、これらの要素については2つの観点がある。

一つは安定性の問題。
足で操作するので時には乱暴に踏みつけたり、状況によっては
乗っかってしまうこともあるのである程度ボディが大きくて重くどっしりと安定したものが良い。あまり小さく軽いと足を乗せた時にカクンと転んでしまうこともあるので、ライブ・パフォーマンスを重視するなら軽い物は避けた方が良いだろう。
しかし、それとは正反対の観点は、持ち運びの重量だ。
大きく頑丈で安定した物は当然重い。
しかし、プラスチック製の小さなものは軽くて場所を取らない。あまりステージで動き回らないのなら、小型軽量のペダルをガムテープやマジックテープなどで固定して使うのも良いだろう。

「ヴァイオリン奏法(ボリューム奏法)」や「スティール・リック」などを多用する場合は軽い踏み応えのものを、リードとバッキングの音量バランスを取ることが中心なら踏み応えの硬めのものを選ぶと良いだろう。あまり軽いと足の重さで動いてしまうのでミスが増えてしまうだろう。

ストロークの長さが短いとちょっと踏んだだけで音量が最大になったり最小になったりして使いにくい。ストロークは長いものは微妙な音量をコントロールできるので使いやすい。
一般的にストロークを長くするとサイズが大きくなる。

他にもモノ仕様とステレオ仕様のものがあるが、一般的にはハイ・インピーダンスのモデルはギターの直後につなぐためモノ仕様に、ロー・インピーダンスのモデルはエフェクターの後につなぐためステレオ化することも考慮してステレオ仕様になっていることが多い。

チューナー・アウトの方式にも二種類ある。
音量を絞った時だけチューナー・アウトが有効になるタイプと
常にチューナー・アウトに信号が出力されているタイプだ。
私は、音を出して耳でも確認しながらチューニングしたいので常にチューナー・アウトに信号が出力されているタイプが好みだ。

ミニマム・ボリュームは、音量を絞った時に音量が完全に0になるのか、小さく出しておくのかを調整しておける便利なツマミだ。これは、リードとバッキングの音量のバランサーとして機能する。

ボリューム・ペダルは直接ボリューム・ポッドに音声信号を流してコントロークするものが主流だが、VCAを使ったタイプもある。直接音声信号をにボリューム・ポッドを組み込むわけではないのでガリが出ないなどのメリットもあるが、VCAの性能によってかなり音質が左右されるので注意が必要だ。
またマルチ・エフェクターなどに付属しているボリューム・ペダルはおとの消え際がある程度の音量で突然消えたり、ストロークが短かったりして使いにくいものが多い。

ボス(BOSS)ボリューム・ペダルFV-500H/FV-500L
MONO IN/MONO OUT/TUNER OUT

FV-500H/FV-500Lは、アルミ・ダイキャスト製の堅牢なボディを使用したボリューム・ペダル。スムーズなペダル動作でトルク調整も可能。チューナー・アウトも装備し、エクスプレッション・ペダル機能も搭載しているので便利だ。
踏み心地も軽いし見た目よりは重くないので良いのだが、大きすぎる。エフェクター・ボードによっては縦置きでは入らないこともあるので注意が必要だ。

ボス(BOSS)ボリューム・ペダルFV-50H/FV-50L
STEREO IN/STEREO OUT/TUNER OUT

小型ボリューム・ペダルの定番モデル。 ミニマム・ボリュームを装備。

コルグ(KORG)エクスプレッション・ボリューム・ペダルXVP10

「ペダル・スプリング機能」という機能が搭載されている。
国内有名ミュージシャンが多数使用の売れ筋人気機種。
安定性、踏み心地も良い。チューナーアウトも装備。

アーニーボール(ERNIE BALL) ボリューム・ペダル 6166
MONO IN/MONO OUT/TUNER OUT

アルミ合金の頑丈なシャーシとフットプレート部分を持ったプロフェッショナルなヴォリューム・ペダルだが重い。外国製品の中では小振りな方だがもう少し小さくてもいいかなと思う。エフェクター・ボードによっては縦置きでは入らないこともあるので注意が必要だ。
デッキマット(フットプレート上面の足を置く場所)はノン・スリップ素材で操作性が良い。 ペダルの動きはやや重い。
チューナー・アウトプットも装備していて、ペダルの状態に関係なくチューニングが行えて非常に便利な機能だ。
また、以外と知られていないが、ヴォリュームの増減レートを選択できるミニ・スイッチ(2点式)が ジャック部分の裏側にあるので、途中で大きく音量が変化するカーブか最後に大きく音量が変化するカーブかを選択することができる。

他に、ショーバッド(Show-Bad)ボリューム・ペダルやグッド・リッチ(Good Rich)ボリューム・ペダルも名機だ。


2008年8月22日
矢萩秀明

Kさんからご質問をいただきましたのでここで紹介しておきます。

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矢萩先生初めまして、Kと申します。

先生の著書の数々やコラム、 Q&A に普段お世話になっている者です。

この度最新のコラムを拝読させていただいまして、興味を持った点がありましてので質問させていただきたいと思いメールいたしました。

ヴォリュームペダルの項でダイナミクスについて非常に興味深く読ませていただきました。
そこで質問なのですが、囁くようなタッチから強く弾いたサウンドをコントロールするには、ヴォリュームを全開にした時はかなり大きい音量で普段は6〜7くらいで弾いているのでしょうか?
その際、出音の音量自体は一定であるようにしているのでしょうか?

また、コードストローク時と単音プレイ時の音量の差異等は右手のコントロールで行っているのでしょうか?

質問が多くなり申し訳ありません。普段このような点で試行錯誤していたので、敬愛します先生に思い切って質問させていただきました。

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K様

いつもG-Worksのサイトをご覧いただきありがとうございます。まだお会いしたこともありませんのに「敬愛」とまで言っていただき大変ありがたく思います。ありがとうございます。
さて、ご質問の件ですが、ダイナミクスとタッチ、そしてボリュームペダルとの関係性は状況によって変化してくるもので言葉で普遍的に「こういう時はこうだ」とは言いにくいものです。一番良いのは実際にバンドの中で音を出しながら説明することなのですがなかなか難しいことなので何とか言葉での説明を試みてみます。

質問1
「囁くようなタッチから強く弾いたサウンドをコントロールするには、ヴォリュームを全開にした時はかなり大きい音量で普段は6〜7くらいで弾いているのでしょうか?」


お答え
そうです。フル・ボリュームにしたらかなり大きな音になるようにギター・アンプのマスター・ボリュームを設定しています。とは言っても限度があるので演奏の中で最大の音量が決まったらmそこからさらに2目盛りくらい音量を大きく設定しています。だからといってその限界のボリュームまで常に使っているのではありません。むしろ最大にすることはめったにありません。普段はボリューム・ペダルを6〜7割くらいで弾いていて全開までにはしません。
それはいざという時にもっと音量を出す分の余裕の部分です。
たとえば、自動車の高速道路の標準的な速度制限が100Km/hなのに、実際には車のスピードメーターはそれ以上の速度の分まであります。本当に100Km/hが限度ならそれ以上は必要ないはずです。しかし、実際の道路走行では様々な状況があり、瞬間的に100Km/hを超えるスピードが必要になることがあるからその分の余裕が必要なのです。

質問2
「その際、出音の音量自体は一定であるようにしているのでしょうか?」

お答え
基本的には聴感上ほぼ一定になるように調整しています。
ステージではモニター・スピーカーから聞こえて来るバンドのサウンド(そのほとんどはドラムとベースです)の音量を聴きながら相対的に音量を決めていきます。
ですから、最小の音量も、最大の音量もモニター・スピーカーから聞こえて来る音量に対して決めていることになります。


質問3
「また、コードストローク時と単音プレイ時の音量の差異等は右手のコントロールで行っているのでしょうか?」

お答え
単音プレイの中心であるソロ・プレイの場合は、歪んだ音色で行うことが多いので、歪みに切り替えた時に若干音量が大きくなるように設定しています。大き過ぎた場合はボリューム・ペダルで調整します。
コード・ストロークになった時は、基本的に音量の小さいシングル・コイルPUにピックアップ・セレクターを切り替えています。ハンバッカーのまま刻まなければならない場合はボリューム・ペダルで調整します。
ただ、ここが大事なところでその時の状況によってタッチで弱くするのか、ボリューム・ペダルで調整したほうがいいのかは違ってきます。
力強いサウンドがほしいならタッチは強いままボリューム・ペダルで音量を下げます。逆に、優しい軽いサウンドがほしい状況ならタッチを弱くしてボリューム・ペダルの音量は下げません。


以上です。参考になったでしょうか?
とても良い質問をいただきありがとうございます。
では、がんばって!


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