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コラム
第26話 ボリュームペダルとタッチの関係性について by 矢萩 秀明

ボリュームペダルとタッチの関係性について

歌謡曲のジャンルのコンサートのステージではギター・アンプのボリュームがよく問題にされる。
ドラムとギター以外が、ほとんどライン楽器の場合は特にそうだ。

エレキ・ギターは、アンプをある程度以上の音量で鳴らさないといい音がしない。
高域も低域もレンジが狭くなる。
サステインも伸びなくなる。
倍音の出方も変わる。

アンプの音量が小さいと、ボリューム・ペダルの基準になる音量の踏み込み位置が違ってくる。
例えば、ペダルの踏みしろの60%で基準音量になるようにアンプの音量をセットする。
これならソロなどで音量が更に必要になってもまだ十分余裕がある。
だからピッキング・タッチも無理に強く弾く必要がないので、ピッキング・タッチによる表情の変化を付けやすくなる。
ボリューム奏法もやり易い。
しかし、この状態からアンプの音量を下げた場合は、踏みしろを80%くらいにしないと基準の音量が保てない。するとペダルの余裕があまり無くなってしまう。
弱いタッチの表現は自分にもよく聞き取れない音量になってしまい、タッチを強めにしないと細かいニュアンスが聴こえにくくなる。
その為、タッチは常に強めにせざるを得なくなりタッチによる表情の変化が付けにくくなる。
ボリューム奏法などの効果も出にくくなる。

このようにダイナミック・レンジや表現の幅が狭くなる。

だから必然的にギタリストはある程度音量が大きくなる。

「アンプの生音を下げて、音量が不足する分をころがしモニターから返してやれば聴こえるでしょ?」
そう考えるPAマンが多い。

それは違う。ただ聴こえれば良いのではない。
先に挙げたような理由があるのだ。

歌伴では、タッチの変化による音量の変化をある程度一定に保たなければならない。

音には大きい音と小さい音、強い音と弱い音がある。
純粋なアコースティック楽器の場合は、音量の大小と強弱は完全に一致する。
しかし、エレクトリックな楽器は、この二つの要素を別々にコントロールすることができるのだ。
これはクラシックのようなアコースティックな楽器演奏形態では有り得なかったことであり、エレクトロニクスの発達がもたらした新しい表現である。

エレクトリック・ギターを演奏する時にも、この二つの要素をコントロールして様々な表現を行う。

音の強弱はピッキングのタッチによりコントロールする。
この部分は、エレクトリック・ギターもアコースティックな原理に支配されるので、演奏のタッチが強まれば強い表情の音になるとともに音量も大きくなる。

しかし、エレクトリック・ギターはギター・アンプを使って音を作り、音を出すので最終的音量はアンプの音量増幅に依存する。
そして、それはギターから送り出される電気信号レベルに依存する。
これをコントロールしているのがボリューム・ペダルである。
ボリューム・ペダルは、謂わばマスター・ボリュームとして機能する。

タッチの強い音を弾く時は、音量が上がるのを考慮してボリューム・ペダルを僅かに下げるて音量を抑える。

逆に、タッチを弱めて弱い音や優しい音、微かな囁くような音を出す時は、ボリューム・ペダル高めにして音量を上げ、聴こえる音量にしてやる。

クレッシェンドを表現しようとする時は、音量の変化よりも音の表情の変化を主に利用して表現する。
実際に音量が上がることよりもクレッシェンドという音楽表現が聴衆に伝わることが大切だ。
ボリューム・ペダルを徐々に上げていったとしても演奏のタッチが変化しなければクレッシェンドという音楽表現には聴こえない。
ある程度の位置にボリューム・ペダルを踏み込んだら、後はピッキングのタッチの変化により弱い優しい音から強い力んだ音に変化させる。
このタッチの変化に伴い、音量も上がるので自然なクレッシェンドが表現できるだろう。

ボリューム・ペダルを使ってバイオリン奏法をやる時は、タッチを強めにして音量とサステインを確保しておく。
ただし、アンプの音量があまり小さいとこのようなダイナミクス表現は難しくなる。

このようなボリューム・ペダルの操作をしながらある程度音量を一定に保ち、歌とのバランスを取り易くすることが歌伴では大切だ。

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