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コラム
第34話  バンド・アンサンブルについてDrums編 by 矢萩 秀明

 ドラムはバンド・アンサンブルの要です。
曲のテンポ、ビート、グルーブ(ノリ)、ダイナミクス変化、テンポ変化、発音や消音のタイミング、曲の盛り上がりや盛り下がり、曲の進行などをリードしていく役目だからです。
それ故、ドラムは、名指揮者であることを求められます。
曲を熟知した名ドラマーがいれば、 バンドは直ぐにまとまるでしょう。
こうした信頼できるドラマーと一緒なら、基本的にはドラムのリードに従って演奏すればよいのです。
特にドラマーの音楽的意図に逆らうような事はするべきではありません。

ドラマーは、キック(バス・ドラム)が正確な者とハイハット(ジャズの場合にはシンバル・レガート)が正確な者とにタイプが分かれる事があります。
スネアのタイミングは、多くの場合、微妙にタイミングを操作して重さや軽さを表現するので、メトロノーム代わりの目安にはならない事が多いのです。
また、ビートに対してのノリ方も、軽め(top of the beat)の人、機械的に正確(just)な人、重め(laidback)の人の三種があります。
初対面ののドラマーと共演する場合には、そのドラマーのこうした音楽的な癖を出来るだけ早く見抜く事が大切です。
そして、キックとハイハットのどちらがより正確かを判断し、正確な方のタイミングを演奏の指標にすることです。
アメリカ系の音楽を演奏する場合には、バック・ビートのタイミングが重要です。特に「チックス」のようなシンプルなパターンを演奏する場合には、2拍・4拍のスネアとずれるとカッコ悪いので、ドラマーのスネアのタイミングを注意深く聴いて合わせることが大切です。
未熟なドラマーは、バック・ビートのタイミングが一定しないので、予測して合わせるのが困難な場合があります。そんな時には、 目視でタイミングを合わせることです。

ギタリストは、キックやハイハットやスネアやタム、そしてシンバルと部分的にユニゾンするようなパターンを演奏する事も多いのです。こうした場合、タイミングを合わせるのは当たり前として、さらに音の長さに注意することは大切です。スネアやハイハットに和音の響きと長さを与えるつもりで演奏するとよいでしょう。
当然、消音のタイミングも重要になります。
あたかもドラムのサウンドに和音の響きや長さがあるかのように聴こえるのが最もよいのです。
それを実現する為に、キック、スネア、ハイハット、タム、シンバル、それぞれの使用法を知り、それとユニゾンする為の演奏法を研究しておくことは、ギタリストにとってとても重要なことなのです。

ダイナミクスの変化も、ドラマーのリードに従えばよいでじょう。例えば 、どの位の音量で演奏を始めるのか?については、ドラマーのカウントや弱起のフィルの強さに従えばよいのです。名ドラマーは、カウントの出し方一つで曲のアウトラインを表現するものだからです。
クレッシェンドをかける前にどのくらい音量を落とすのか?についてはどうでしょうか?
一瞬で急激に音量を 落とそうとする場合、ドラマーは、前の拍の弱拍に強いアクセントを付けます。その強さが強いほど次の拍の頭の音量は小さくなると思えばよいのです。
つまり、名ドラマーはこのような方法で次の状況を暗示するのです。
セクションの変わり目でドラマーが入れるフィルを聴けば、次のセクションの音量がどう変化するのかが予測できるでしょう。フィルの音量や勢いが変化しなければ、次も同じような音量を維持すればよいのです。フィルの音量が下がっていくようなら次は音量を落とし、上がっていくようなら次は音量を上げればよいのです。

「Open for Solo」で、あるセクションを何度か繰り返す場合、ドラマーはセクションの終わりにフィルインを入れます。このフィルインを聴けば、次がまた繰り返しなのか、繰り返しを終えて次のセクションに進行するのかが判るはずです。
短めにフィルインを切り上げたり、音量を落としたり、これまでと違ったシンプルなリズム・パターンであったら、多くの場合、次のセクションに進行します。
逆に、音量や勢いが変わらなかったり、ポリ・リズムやシンコペーション・リズムなどの不安定で躍動的なリズムを使っていたり、小節一杯にフィルして、場合によっては、次の小節にはみ出してしまうようなフィルインをしている時にはまだまだ繰り返しが続くと思ってよいでしょう。
また、曲のクライマックスをどこに置くかは、感動を生み出す上で重要なことです。曲を熟知した名ドラマーなら、クライマックスは一回(一箇所)に絞るでしょう。多くの場合、クライマックスはサビであることが多いのですが、サビは一曲の中で何度か出てくるのが普通です。しかし、たとえ譜面上は同じことの繰り返しであっても、1回目のサビと2回目のサビは同じではありません。曲というストーリーの中で時間も状況も変化しているからです。
曲の構成や歌詞を理解した上で、最も感動が強くなる部分にクライマックスを設定するようにします。
クライマックスが最大に盛り上がるように、それ以前の部分のダイナミクスや勢いを整えます。
曲の進行に従いながら少しずつ変化し、クライマックスへの機運を熟成させていき、クライマックスを迎えたらそこで一気に勝負をかけます。聴衆を感動させたら勝ちです。
このように名ドラマーは、曲の構成を理解した上で、常に先回りをして道案内をするかのように、合図を出し、暗示し、そしてムードを演出してアンサンブルをリードしていくのです。
この事は何もドラマーに限ったことではありません。
立場や役割は多少違ってもアンサンブルに参加する演奏者は心得ていなければならない事柄なのです。

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