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Q&A
<Q17> スタジオミュージシャンの具体的な仕事内容について教えてください。
お尋ね者さん (2003/03/01)
 エレキギター歴5年で、スタジオミュージシャンに興味のある19歳男です。スタジオミュージシャンについてもっと知りたいと思い、ネット検索でいろいろ調べていたらこのページにたどり着き、先生のコラムを読ませていただきました。音楽に対する考え方など、とても考えさせられたと同時に、丁寧な返答や文章から先生の温かい人柄が伝わってきました。質問に答えていただけたら幸いです。

 スタジオミュージシャンの仕事内容はおおまかにはわかってきましたが、実際にそうした仕事をしている人がまわりにまったくいないので具体的なところがわかりません。お忙しいとは思いますが、一言でもかまいませんので返答よろしくお願いいたします。


<A> 矢萩秀明

 お尋ね者さん、はじめまして。書き込みありがとう。最近、迷い人やお尋ね者など色々な人がいるものだなと感心しています。

 初めにスタジオミュージシャンの具体的な仕事内容についてお話ししますね。

 コラムにも書いたのですが今の日本では純粋にスタジオの仕事だけで生活していけるミュージシャンは少なくなってきています。大抵の人は、スタジオ以外の色々な仕事をしながら生きています。でも、それでもスタジオで生計を立てているミュージシャンもいますから、その方達のことをお話ししましょう。

 スタジオミュージシャン(以下、ミュージシャン)の仕事場はもちろん録音スタジオです。都内にいくつかプロの録音スタジオがあります。ミュージシャンに仕事を直接依頼するのは「インペグ」と呼ばれるミュージシャン斡旋業者です。インペグはミュージシャンのリストを持っていて、制作主から依頼を受けて、その仕事にふさわしいミュージシャンを選び、コンタクトを取ります。スケジュールやギャラが折り合えばミュージシャンに日時と場所などを告げて押さえます。ミュージシャンが個人営業の場合は直接本人と、管理事務所に所属している場合はマネージャーとの交渉になります。

 インペグがミュージシャンを選ぶ時、アレンジャーやアーティストからの指名があれば当然そのミュージシャンが優先的に押さえられます。仕事によっては、インペグを通さないでアレンジャーやアーティストから直接依頼することもあります。ミュージシャンはインペグのリストに名前が載ることが重要になります。

 スタジオの仕事は時間給です。だいたい1時間8000円くらいから2万円くらいの間が相場だと思います。もちろんこれはミュージシャンの格(!?)によって違い、人によっては時間数万円の人もいます。

 1回のセッションはだいたい2時間で、これを超えた文は延長料金がやはり時間給で支払われます。|これに、楽器使用料または持ち込み料、ダビングをしたらその分も加算されます。ですから、1セッション仕事をすればけっこうな収入になります。売れっ子のミュージシャンは1日に3セッションくらい仕事をするので1日10万円前後の収入になると思います。

 ギャラは、大抵は「とっ払い」と言って仕事が終わった時に現場ですぐに支払われるのが普通ですが、後から振り込まれることもあります。

 さて、仕事の内容ですが、基本的には録音のために演奏することです。 CDの録音、TVなどの番組のための音楽の「劇伴」、映画の音楽、CM音楽、BGM、ビデヲやゲームの音楽、ミュージカルやお芝居の音楽などありとあらゆる録音すべてです。

 ミュージシャンは指定された時間と場所に楽器や機材を自力(車)で運び、時間内に要求された演奏をしなければなりません。当然、譜面は読めてあたりまえ、演奏はできてあたりまえです。

 ミュージシャンには保証は一切ありません。仕事の依頼も一回きりの口約束です。そこで仕事をして好評だったら、次の仕事が来るかもしれませんが、不評だったらもうそこからの仕事は二度と来ないでしょう。

 また、スタジオにも流行があって、波に乗っている間は良くても、ブームが去ると声がかからなくなることもあります。ですからミュージシャンはその時代の流行に敏感で、人によってはその時々の流行のスタイルを取り入れころころスタイルの変わることもあります。(時には節操なく)

 ミュージシャンと言うと聞こえはいいのですが、労働条件としては日雇の土方や大工さんとあまり変わりません。場合によっては、それ以下かも知れません。仕事があれ ば儲かりますが、仕事が終われば即失業です。もちろん失業保険などありません。今日仕事があったから明日も仕事があるとは限りません。また、病気や怪我や老いなどで演奏できなくなったら終わりです。相手の要求に答えるのが仕事ですから演奏内容は必ずしも自分のやりたいことばかりではありません。

 ミュージシャンは、自分の腕を維持しさらに向上させる努力をし、流行に敏感に対応しながら、失業の不安に怯え、後進の若手ミュージシャンの台頭に追われ、やりたいことと現実の仕事とのギャップに悩みながら生活しています。(もちろん、音楽制作の現場にかかわる喜びや演奏すること自体の喜びもあります。)こうしたプレッシャーに耐えられなくて薬物やお酒に溺れるミュージシャンもいますし、理想をかかげ創造的に前進しているミュージシャンもいます。


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