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Q&A
<Q59> チョーキングがうまくできません。
Fさん (2016/2/8)
<A> 矢萩秀明

チョーキングについてご質問があったので、チョーキングの練習の仕方について述べることにします。

(1)プレイ・フォーム
まずはじめに大切なのは、チョーキングのプレイ・フォームです。
チョーキングをする際に、左手の肘が大きく外に動いてしまう人が多いようです。これは腕と楽器の固定ができていない場合や左指を動かすつもりで腕を動かしている場合、それらの両方の場合などに見られます。...
正しくは、左手でしっかり楽器と腕を固定した上で、左指の曲げ伸ばしと前腕の回転による手首の回転などを利用してチョーキングします。
文字だけではうまく説明できないので、ここではこれだけに止めます。

(2)ピッチ
チョーキングの要素で大切なのものは、ピッチ、音程幅、音程変化のスピード、ビブラートの掛かり始めるタイミング、リリースの仕方などがあります。
まず、ピッチの練習法について述べます。
私の仕事柄、ステージやスタジオのレコーディングなどで正確なピッチが求められます。
その為、若い頃にチョーキングのピッチをよくする為の練習をしました。
例えば、チョーキングのピッチをチューナーのメーターによって目視することができますが、これは労多くしてあまりよい練習とは思えません。
エレキ・ギターでチョーキングを使う場面は、多くの場合、バンド・アンサンブルの中でソロやメロディーを弾く場面です。こうした場合、バッキングのコード・サウンドが鳴っていますし、少なくともベースのルート音くらいは鳴っていることが多いと思います。
ですから、チューナー的に正確なピッチというより、バッキングのサウンドの中でいかに気持ちよいピッチを取れるかが重要なのです。
バイオリン族のフレットのない楽器奏者は、ギターなどのフレットのある弦楽器奏者について、「自分の耳でピッチを作らないで、他人(フレット)によって作られたピッチでよく平気でいられるものだ。」と非難することがありますが、それにも一理あるのです。
同じ音名であっても、純正律的なピッチと平均律的なピッチは微妙に違うピッチであるので、耳のよい人ならアンサンブルの中で、コード・サウンドやベース音に基づいて純正律的なピッチを取ることが可能です。
これを養うために、私は、ピアノのサスティーン・ペダルを踏んだままで、あるコードまたはベース音を弾き、その音に基づいてコード・トーンやテンションを狙ってチョーキングし、最も美しく響くピッチを探す練習をしました。
チョーキングのピッチは左手の力加減ではありますが、それを微調整しているのは耳の判断であることを忘れてはならないのです。

(3)音程幅
音程幅については、1全音上げるのが基本的ですが、半音上げるチョーキングは、使い方によってですが、全音のチョーキングとは違うニュアンスを表現できます。もちろん、技術的には 難しくなるのですが、普段、全音のチョーキングを使うところを半音のチョーキングに変えてみて、そのニュアンスの違いを確かめておくことは表現の幅を拡げる のに役立つでしょう。
更に、フレディー・キングのような短3度や長3度音程のチョーキングは、ワイルドでブルージーなテイストを表現できるのですが、技術的には難しい技です。
さらに、4分の1音という微妙なピッチはブルー・ノートと呼ばれるブルージーな演奏には無くてはならないピッチです。これをうまく使いこなす為には、まず、ブルースをよく聴いて本家本元のブルー・ノートのピッチを耳に焼き付ける必要があるでしょう。
技術的に考えると、これらの様々な音程のチョーキングは、音程幅が大きいほど力が必要なので、薬指などの強い指を使うようにするのが望ましいよ思います。これはフィンガリングやポジショニングの工夫が必要になります。
全音以下の音程については、状況によっては薬指以外の指でチョーキングせざるを得ない場合もあるので、各指の強さや使い方、向き不向きなどをチェックしておくことを勧めます。

(4)スピード
音程変化のスピードは、スピード感や感情表現に影響する大切な要素です。
一般的に、チョーキングのピッチを上げる速さが速い方がスピード感を感じさせ、遅めだとゆったり感を表現できます。
また、しかし、ピッチを上げるスピードが速いとその音のインパクトは弱まり、その音に乗せる情感が薄くなったように感じるものです。逆に、スピードが遅い場合、いわゆる溜めが効いた音になり、その音のインパクトが増して、たっぷりと感情を込めたように聴こえます。
ただし、むやみに溜めすぎると、ビートに対して失速してしまうので注意が必要です。
こうした場合、その音の音価とテンポの関係から、その音の持つ持続時間を感じ取り、その上で、アタックしてから目標のピッチまでピッチを上げていく時間、 目標のピッチを保って伸ばしている時間、ビブラートを掛けて音が終わるまでのリリースの時間の三つの時間帯の配分を考えて演奏します。音楽的な音の持続時間 は、決まっているので、どれかの時間配分を長くすれば、別の部分の時間配分を短くするしかないことになります。
この時間配分を変化させることによってもチョーキングのバリエーションを作ることができます。

(5)ビブラートの掛かり始めるタイミング
ビブラートの掛かり始めるタイミングも非常に大切な要素です。これは先に述べた時間配分によって違ってきます。
一般的に、ピッチが定まらない内からビブラートを掛け始めると、自分でも目標のピッチに達しているのかどうか判らなくなることが多いのです。
それを防ぐ為、私は目標のピッチに達したら、暫くノン・ビブラートで音を伸ばして、その後にビブラートを掛けることが多いのです。
ただ、ビブラートはギタリストの個性を決める大切な要素ですから、例えばチリメン・ビブラートの声の歌手がそれを個性にしている場合のように、一概にどうのこうの言えない部分でもあります。
技術的な面で、ビブラートを掛ける際に注意したいのが、やはりピッチの問題です。
中心となるピッチを感じながら僅かにピッチを揺らすのですが、下手をするとビブラートによって更にピッチが上がり、全体に上ずったピッチになってしまうことがあるので要注意です。これもバッキング・サウンドとの協和を、耳で聴き分けることが大切です。
ビブラートの掛け方にもいろいろありますがここでは述べません。

(6)リリースの仕方
チョーキングした音の最後のまとめ方や終わり方をリリースと呼びます。
チョーキングした音をピッチを下げる音を出しながらチョーキングする前の音に戻して終わる場合と戻す音を出さない場合があります。技術的には戻す音を出さない 方が難しいのです。ピッチを一定に保ったまま、右手やピックによるカット・テクニックを使って音を切ってから、音を出さないようにしながら素早く音を戻すのです。
逆に、敢えてピッチを下げる音を聴かせるのも効果的なことがある。
こうした効果は、いろいろな音楽を聴き、自分でも試してみることです。
ここに述べた様々な要素について、沢山の素晴らしいギタリストの演奏を注意深く聴いて真似ることが大切だと思います。

矢萩秀明

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