第70話 – ヤイリギター工場見学レポート


G-Works音楽研修旅行 ヤイリギター工場見学レポート

1.ヤイリギターとの出会い

私がヤイリギターのモニターをさせてもらっている事から、2019年5月25日、G-Worksの一門の皆さんと岐阜県可児市にあるヤイリギターの工場を見学に行きました。
名古屋から名鉄に乗り換え日本ラインで1時間ほどで今渡駅に到着。
のどかな田舎町の駅です。そこから辺りを見渡すと小高い岡が見えます。その岡の上にヤイリの工場があります。線路を渡って道路沿いに徒歩10分程ゆるやかな坂を上るとヤイリの工場の看板が見えて来ます。
途中に、可児市の文化創造センターがあります。

(可児市の文化創造センター)

以前に、香西かおりさんの公園が可児市の文化創造センターで行われた際に、センターの受付に展示してあったヤイリギターを試奏させていただきました。
サンタナがヤイリギターを使用している事は存じていましたので興味を持っていたのですが、実際に試奏してみると、音の豊かさや弾き易さ、作りの丁寧さ等が強く印象に残り、ヤイリギターの品質を実感することがでこたのですが、そのコンサート・ホールのすぐ近くに工場があったのですね。知っていたらその時に工場を見学するのでした。

(文化創造センターのヤイリギター試奏受付)

(ヤイリギターを試奏)

2.工場に到着

さて工場に到着しての第一印象は、「意外と小さい工場なんだな」でした。
世界的に有名なブランドであるだけに近代的で大きな工場を思い描いていたのでちょっと意外でした。

(入り口)

(受付)

受付のある建物に入ると受付の方々やモニター担当のM氏がにこやかに迎えてくれました。私達以外にも数組の見学者が来ていました。
挨拶等を済ませて、いよいよ工場見学のスタートです。
案内担当の方についてほぼギター製作の工程順に工場内を見学して行きます。

3.サイド板の加工の様子

真っすぐな板をお湯に浸して水分を含ませた後、高温のプレス機で弓形の美しい曲線を作って行きます。
熱との戦いです。暑いです。

4.サイドを2枚合わせてボディを作る様子

弓形に成形されたサイド板を対にしてひょうたん型のボディーを作ります。

(ひょうたん型のボディ作り)

5.材料になる木材や貝について

カナダ産の巨大な輪切りのスプルースを見せてもらいました。この大きさでも、ここから3分の1程度しかギターに適した材木は取れないそうです。その他、南米やアフリカの木を使うそうです。
装飾に使う貝細工も大きな貝殻から使える部分は少ししか取れないそうです。

(スプルースの切り株)

(貝殻)

6.トップ板とバック板の加工の様子

トップ板の裏のブレイジングについてのお話しを聴きました。
ナイロン弦とスチール弦ではテンションが違うのでブレイジングの仕方が異なることでした。サウンド・ホール周りの装飾やトップの縁取りの装飾についてのお話しも伺いました。細かで繊細な作業です。

 

(ブレイジング)

7.ボディを作る様子

ひようたん型のボディとトップとバックを合わせてボディを作ります。

 

(ボディ作り)

8.ネックの加工の様子

一本一本職人さんがノミで削りながら形を整えていました。やり直しのきかない作業です。
アコースティック・ギターとエレキ・ギターではトラスロッドの形状や強さが違うそうです。
初めてトラスロッドそのものを手に取って見ることができました。

 

(トラスロッド)

ネックのR(アール)の違いについてのお話しを聴きました。
三角型(マーチン)、カマボコ型(ギブソン)、やや6弦側に頂点があるヤイリ型の3種類を体験しました。
一番握り易かったのはもちろんヤイリ型!

(ネックの形状)

9.ボディのヤスリがけ仕上げ

塗装前の大切な作業です。
小さな傷も見逃さずに細心の注意を払いながらヤスリがけしてきれいに仕上げます。根気と忍耐のいる手作業です。

(ヤスリ掛け)

10.ボディやネックの塗装

下塗り、中塗り、仕上げの塗りと何度も塗っては削り、塗っては削りを繰り返して薄くてつるつるの塗りに仕上げていきます。

11.ボディの研磨作業

バフと言われる布の巻いてある機械に研磨剤を付けて磨いて艶を出す作業です。
高速で回転する危険なバフに職人さんが体当たりするかのようにしてギタ=を押し付けています。
真剣勝負をするよような職人さんの姿に心打たれました。

(バフ)

12.ボディへのネックの取り付け

ボディにネックを取り付けるための溝を彫り、そこにネックを取り付けます。
ネックの取り付け角を考えながらの繊細な調整です。

(ネック取り付け)

13.アッセンブリーの取り付け

ピック・アップを仕込み、ペグなどのアッセンブリーを取り付けていきます。

(アッセンブリーの取り付け)

14.フレット打ち

フレットを指盤に1本1本ハンマーで叩きながら打ち込んでいきます。
ムラの出ないように職人さんの目と勘で仕上げていきます。職人さんが寡黙に一心不乱に叩いていました。

(フレット打ち)

15.検品作業

完成したギターの品質を一本一本検査する作業です。

16.木材の乾燥

湿度や温度が管理された部屋で木材を乾燥させます。この部屋には常に音楽が流れています。これは木材に音楽を聴かせて鳴りの良い楽器用の木材に成るように育てているのだそうです。

(パーツの乾燥)

17.完成楽器の保管室

完成した楽器を湿度や温度が管理された部屋に置き、大音量でクラシック音楽を聴かせています。これも鳴りの良い楽器を作るためだそうです。

(完成品)

18.マスター・ビルダーの作業室

ギター製作は分業化されていますが、マスター・ビルダーは一人の職人が全ての工程を行います。

(マスタービルダーの作業室)

19.木材の天日乾燥

工場の敷地内の屋外(屋根はあります)に、大量の木材が積まれて天日乾燥されています。少ない物で3年、長い物では10年も寝かせて狂いの無い良質の材木に成るのを待ちます。材木の目の見方を教わりました。

(天日乾燥)

20.ショールーム

ショールームでは展示してある様々なギターを試奏することができます。
私も含め皆さん大興奮の時間でした。

(ショールーム)

21.材木の保管室

特別に材木の保管室を見せてもらいました。
ローズウッドとアルダー、メイプル、アッシュの材質の違いが実感出来ました。
極めつけは材木の香りを楽しめたことです。
特別に貴重なハカランダ材(ブラジリアン・ローズウッド)を少しだけ表面を削って匂いを嗅がせていただきました。甘い香りがします。
参加者全員が材木の匂いを嗅いでいるいる様は何かユーモラスで担当のM氏も思わず笑っていました。
これは今回の工場見学でもメインの体験になったのではないかと思います。

(木材倉庫)

(ハカランダの香り)

22.あとがき

さて、2時間くらいの見学はだいたいこのような内容だったと思います。
私もギターの製造過程を拝見するのは初めてのことで大変興味深くエキサイティングな体験となりました。

職人さんたちの寡黙で真剣な表情、木材との真剣勝負といった姿勢、最高の品質を裏打ちする技術と気概、木材や楽器に対する細やかな愛情、そういった楽器作りに大切なものをこの目で見、この耳で聴き、肌で感じることができました。

工場内にあった「高品質より我ら生きる道なし」の銘にも感服いたしました。
こんなにも繊細で根気と忍耐と技術のいる作業と職人の勘や情熱、そして愛情が注がれて1台のギターが完成するのですね。
ヤオリのギターは値切ってはダメです。売られている値段は高くはないと思いました。
ますますヤイリギターのファンになりました。
きっと同行した者達も同じ気持ちでしょう。

最後に親切にしてくださったM氏や社長の矢入さん、受付の方々、案内して下さった職人さんに感謝いたします。ありがとうございました。
皆さんも是非ヤイリギター工場見学にお出かけください。そしてヤイリギターを手に入れてください。

http://www.yairi.co.jp/