第79話 – 短3度代理システム


ジャズのソロなどで大活躍する考え方に「短3度の代理システム」があります。
ジャズでなくとも歌もののコード進行でのソロなどでとても便利に使えるシステムです。

1.短3度代理システムのポイント

(1)ディミニッシュ・コードを見たら半音下の7th(b9)コードだと思う。 7th(b9)コードを見たら半音上のディミニッシュ・コードだと思う。

(2)ディミニッシュ・コードは短3度で転回できる。

(3)拡大解釈すればその代理である半音下の7th(b9)コードも短3度で転回できる。

この理屈を最大限に利用するとフレーズや演奏のポジションの選択肢を大幅に増やすことができます。

2.C dimグループの短3度代理関係

譜例1

Cdim7の構成音はC、E♭、F#(G♭)、Aとなり、すべて短3度音程の積み重ねでできています。
そのため、コードを転回しても構成音はまったく変わらず同じ響きがします。便宜上のルートが変わるのでコード・ネームは変わりますが同じコードと言えます。
Cdim7=E♭dim7=F#dim7=Adim7=Cdim7となり循環します。

B7(♭9)の構成は1・3・5・♭7・♭9で、構成音はB、D#、F#、A、Cとなります。
ここからルートのBを省略した残りの構成音はD#、F#、A、CとなりCdim7の構成音と一致します。
この事から、Cdim7=B7(♭9)と言う代理関係が成立します。
更にこれをCdimグループのコードに適用すると次のようになります。

Cdim7=B7(♭9)
E♭dim7=D7(♭9)
F#dim7=F7(♭9)
Adim7=G#7(♭9)

この結果、これを拡大解釈すればB7(♭9)も短3度で転回すれば代理関係が成立することになります。

B7(♭9)=D7(♭9)=F7(♭9)=G#7(♭9)=B7(♭9)

3.C #dimグループの短3度代理関係

譜例2

4.Ddimグループの短3度代理関係

譜例3


dimコードは、この3つのdimグループのコードで網羅できるのでこの3つの短3度代理システムを覚えることが大切です。

5.半音上昇するパッシング・ディミニッシュへの応用

コード進行のパターン:ⅠM7-#Ⅰdim7-Ⅱm7-Ⅴ7

譜例4

2小節目の#Ⅰdim7であるC#dim7にこのシステムを応用するると次のようになります。

1段目:オリジナル・コード進行
2段目:C#dim7に対してC7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
3段目:C#dim7に対してEdim7またはE♭7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
4段目:C#dim7に対してGdim7またはF#7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
5段目:C#dim7に対してB♭dim7またはA7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。

4小節目のⅤ7であるG7にこのシステムを応用するると次のようになります。

6段目:Ⅴ7のG7に対してA♭dim7のフレーズを弾くことが出来ます。
7段目:Ⅴ7のG7に対してB♭7(♭9)またはBdim7のフレーズを弾くことが出来ます。
8段目:Ⅴ7のG7に対してD♭7(♭9)またはDdim7のフレーズを弾くことが出来ます。
9段目:Ⅴ7のG7に対してE7(♭9)またはFdim7のフレーズを弾くことが出来ます。

6.半音下降するパッシング・ディミニッシュへの応用

コード進行のパターン:Ⅲm7-♭Ⅲdim7-Ⅱm7-Ⅴ7

譜例5

2小節目の♭Ⅲdim7であるE♭dim7にこのシステムを応用するると次のようになります。

1段目:オリジナル・コード進行
2段目:E♭dim7に対してD7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
3段目:E♭dim7に対してF#dim7またはF7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
4段目:E♭dim7に対してAdim7またはA♭7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
5段目:E♭dim7に対してCdim7またはB7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。

4小節目のⅤ7であるG7にこのシステムを応用するると次のようになります。

6段目:Ⅴ7のG7に対してA♭dim7のフレーズを弾くことが出来ます。
7段目:Ⅴ7のG7に対してB♭7(♭9)またはBdim7のフレーズを弾くことが出来ます。
8段目:Ⅴ7のG7に対してD♭7(♭9)またはDdim7のフレーズを弾くことが出来ます。
9段目:Ⅴ7のG7に対してE7(♭9)またはFdim7のフレーズを弾くことが出来ます。

7.トニック・ディミニッシュへの応用

譜例6

1段目から5段目まではトニックに対してトニック・ディミニッシュを使った場合の例です。

コード進行のパターン:ⅠM7-Ⅰdim7-ⅠM7

1段目:オリジナル・コード進行
2段目:Cdim7に対してB7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
3段目:Cdim7に対してE♭dim7またはD7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
4段目:Cdim7に対してF#dim7またはF7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
5段目:Cdim7に対してAdim7またはG#7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。

6段目から9段目まではドミナントに対してトニック・ディミニッシュを使った場合の例です。

コード進行のパターン:Ⅴ7-Ⅴdim7-Ⅴ7

6段目:オリジナル・コード進行
Gdim7に対してF#7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
7段目:Gdim7に対してB♭dim7またはA7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
8段目:Gdim7に対してC#dim7またはC7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。
9段目:Gdim7に対してEdim7またはE♭7(♭9)のフレーズを弾くことが出来ます。

8.まとめ

「1.短3度代理システムのポイント 」の(1)で示したように『ディミニッシュ・コードを見たら半音下の7th(b9)コードだと思う。 7th(b9)コードを見たら半音上のディミニッシュ・コードだと思う。』と考えると対象となるコードについて常に8箇所のポジションが使えることになります。
また、dim7の代理になるのは厳密に言えば7th(b9)コードですが、これを単にただのドミナント7thコードやメジャー・トライアドでも良いと拡大解釈すれば、ブルース・フレーズやトライアドのアルペジオなども使えることになり、使えるフレーズの範囲が各段に広がります。
ただ、次のコードへの解決の仕方はどの代理を使うかによって微妙に違うので、ここに挙げたすべての代理関係を弾いてみて解決の仕方を具t路的に考えてください。
ここに示したのは考え方(理論)のみですので具体的なフレーズにすることが大切です。