第95話 – Scale Out #3


セミ・アウト

コラム第9話と第94話に続いて今回は「Scale Out」の第3回です。
引き続きセミ・アウトの方法を紹介します。

今回もコンビネーション・オブ・ディミニッシェド・スケールを使っていますが、第94話と違うのは便宜上設定したトニック・コードが違うことです。

ソロの手順

全体としてはAm7の一発コードのバッキングに対してソロをかぶせるとします。モードとしてはAドリアン・モードです。

①Am7に対してAmペンタトニックを使ってアド・リブをします。
Aドリアンのスケールでもかまいませんが、いずれにしても充分にトニックのサウンドを聴かせてください。

②譜例のようにAマイナー・ペンタトニックのフレーズとしてE音を伸ばしました。
と同時にこのE音はD7の9thのE音であると頭の中で思い直します。

③ナチュラル・テンションのD7(つまりオルタードしていない)からオルタードしたD7を経てトニックの代理コードのGへ向かうことにします。

④D7altに対応するスケールをリスト・アップして好きなサウンドのスケールを使って離脱します。
ここでは、前回に引き続きコンディミを使うことにします。D7altに対応させる為、Dのコンディミを使います。

⑤アウトした瞬間、F音→E♭音と続きますからアウト感も強い出だしです。ここから一気に4弦B音へ向けて弾き切ります。B音はトニックの代理のGメジャー・コードの3rdの音です。

⑥トニックの代理のGメジャー・コードの3rdのB音を弾いたら、すぐにその音を本当のトニック・コードのAm7の9thのB音だと思い直します。

⑦その後、トニック・コードのAm7のサウンドをはっきり感じさせるようなフレーズを弾いて安定させて締めくくります。

トニックの代理コードを新たに設定

Aドリアン・モードのダイアトニック・コードの内、特性音のF#音(スケールの第6音)を構成音に含まないコードがトニック・コードです。
従って、Aドリアン・モードのトニックはAm7とCM7とEm7です。
そこで前回は、Em7をトニックの代理として使いAm7→B7→Em7と言う便宜上のコード進行を考えてセミ・アウトの手掛かりとしたのでした。

今回は、Gメジャー.トライアドをトニックの代理としました。四和音のGM7であれば構成音にF#音を含むのでトニックには出来ませんが、Gメジャー.トライアドならOKです。

このトニックに向かっていくドミナントはD7です。もともとAドリアンは、マザー・スケールがGメジャー・スケールですから、Am7がD7を経てGメジャー・トライアドに向かうコード進行は自然に感じられるはずです。

D7に対応するスケールをリスト・アップする

D7に対応するスケールをリスト・アップします。
ただし、Dミクソリディアンは構成音がAドリアンとまったく同じですから、当然アウトの効果はありません。オルタード・スケールやホール・トーン・スケールやコンディミなど適度にAドリアン以外の音を含むスケールを選んでください。

今回は、前回に引き続きDのコンディミを使うことにします。

DのコンディミにはE♭音、F音、G#音などのAドリアン以外の音が含まれています。
これらの音がAドリアンにとってどう言う音なのかを考えると、E♭音は♭5thのブルー・ノートです。F音はAm7コードに関連して考えればAナチュラル・マイナー・スケールの第6音の♭6です。G#音はAマイナーに於ける導音ですからこの3つの音はまんざら無関係な音ではありません。

7thコードの短3度代理システム

こうして見てみると前回のB7に対して使ったBのコンディミと同じ結果になっている事に気づきます。
B7とD7のルート音の音程差を考えると、短3度です。実はこれは7thコードの短3度代理システムに基づいています。
B7とD7とF7とA♭7はそれぞれがお互いの代理になると考えます。
詳しくは当コラム第79話「短3度代理システム」をご参照ください。

リハーモナイズによるセミ・アウト

今回はピヴォット・ノートを設定してその音を軸音にしてアウトしたわけではありません。
今回は、Am7をⅡ-ⅴ化してAm7→D7としたと考えるか、Gメジャー・トライアドを仮のトニックとしたⅡ-ⅴ-ⅠとしてAm7→D7→Gと言うアド・リブの為の便宜上のコード進行を設定してセミ・アウトをしています。(リハーモナイズによるセミ・アウト)
ただ、敢えて言うなら、アウトする直前のE音がAドリアンとDミクソ・リディアンのピヴォット・ノートであり、それを軸音にして離脱したと言っても良いと思います。

もちろんDミクソ・リディアンを弾いてもセミ・アウトにはなりませんから、E音をピヴォット・ノートにしてAドリアンからDミクソ・リディアンに変化し、更にそのD7がオルタードしてDコンディミに変化したと考えてください。

トニックへの復帰

初めの譜例の3小節目の1拍目の4番目の16分音符のG#音は、Dのコンディミの音ですがトニック音のA音に対する導音でもあります。その1個前のB音(これは上主音として働く)と共にトニックのA音を強力に導き出します。
つまりこのG#音は、ピヴォット・ノートでありAドリアンに復帰する為の軸音になっています。

Aドリアンに戻ってからはAm Unitを経てクロス・アクセント・フレーズと続け、最後にC音→B音→A音とトニックに解決してフレーズを締めくくっています。
アウトした後には必ずトニック・サウンドをしっかり弾いて解決感を出してください。
これによりアウトがアウトとして機能します。

参考コラム

当コラムの他の記事にも関連した内容がありますのでこちらもご参照ください。

第 9話 – Scale Out
第24話 – リハーモナイズによるセミ・アウト手法について
第39話 – トニック・ディミニッシュの応用について
第79話 – 短3度代理システム
第84話 – セミ・アウトの薦め
第94話 – Scale Out #2