第97話 – FLAMMA Digital Pre Amp FS06レポート


1.プロローグ

FLAMMA Digital Pre Amp FS06は、7種類のアンプ・モデルにキャビネット・シミュレーターを搭載したエレクトリック・ギター用のデジタル・プリアンプです。

私がFLAMMA(フランマ) FS06の事を知ったのは教室の受講生のN君からでした。N君はエフェクターやアンプなど機材に関して日頃から興味を持って研究していましたから私もN君の推薦とあらばと興味を持ったのです。
中国製のエフェクター・ペダルと聞いて少し不安もあったのですが購入して試してみることにしました。

ネットで購入するとすぐに製品は届きました。写真がその中身です。

困ったのが取り扱い説明書です。小さな紙片に英語と中国語で小さい文字で書かれているためとても読みにくいし、そもそも読む気になれませんでした。
そこでネットで使い方を検索するとYouTubeに既にいくつかの試奏動画がありましたのでこちらを参考に使い方を学びました。
使い方についてはもう少しまともな説明書を付けて欲しいものです。
それと試奏動画を見ると圧倒的に歪み系エフェクターとしての使い方に終始しこの機材の一面しか見ていないと感じました。
試奏する人によってはその機材の真の魅力に気づかないこともあるのだと思いました。
そこで、このコラムでは、FLAMMA(フランマ) FS06の使い方の説明とクリーン・サウンドの魅力について述べたいと思います。

2.スペック

メーカー:FLAMMA INNOVATION

モデル名:FS06 PREAMP

入力:1/4”モノラル・フォーン・ジャック

入力インピーダンス:4.7Mオーム

出力:1/4”モノラル・フォーン・ジャック

出力インピーダンス:100オーム

コントロール:LEVEL、GAIN、BASS、MID、TRE、SAVE/SELECTボタン、フットSW

電源:DC9V センター・マイナス 電池非対応

消費電流:300mA

寸法:69.82×121.5××50.65mm

重量:0.298Kg

3.各部名称

①電源ジャック
DC9V 300mA
センター・マイナス
②BASS
低音域を調整
③MID
中音域wp調整
④TRE
高音域を調整
⑤LEVEL
音量を調整
⑥SAVE/SELECT
ボタン
短く押すと次のアンプに切り替わります。
長押しすると設定が保存されます。
⑦GAIN
入力感度を調整
⑧プリセット・スロット・インジケーター
SELECTボタンを短く押すと1~7の順に順送りで切り替わります。
⑨INPUTジャック
入力ジャック
ギターからのケーブルをつなぎます。
⑩OUTPUTジャック
アンプやミキサーにつなぐケーブルを差します。
⑪FOOT SW&LED
オン/オフ・モードとチャンネル切り替えモードがあります。
LEDは青がクリーン・チャンネル、赤が歪みチャンネルです。
⑫筐体の左側面に7種類のモデリング名が書いてあります。

4.機能説明(概略)

FLAMMA FS06は、7種類のモデリング・アンプにオン/オフ可能なキャビネット・シミュレーターを搭載したエレクトリック・ギター用のデジタル・プリ・アンプ・ペダルです。

フット・スイッチには2つのモードがあります。
まず一つは、アンプ・オンとバイパス(アンプ・オフ)を切り替えるモードです。
もう一つのモードは、クリーン・チャンネルと歪みチャンネルを切り替えて使う為のモードです。

キャビネット・シミュレーターはオン/オフが可能です。使い方に合わせてあらかじめオンにするか、オフにするか決めて設定しておきましょう。

7種類のモデリング・アンプは、中央にあるSelectボタンを押す事で切り替わります。
中央横長の1~7と書かれたランプに選ばれたプリアンプの番号の所が点灯します。

音色の作り方は実際のギター・アンプと同じです。
LevelとGain、Bass、Mid、Trebleのつまみを適宜動かして調整します。
一番最初に使う時にはファクトリー・プリセットになっています。どれかのツマミを動かすとSAVEボタンが点滅します。
変更した音色の設定を保存したい時にはSAVEボタンを長押ししてください。

5.2つの操作モード

フット・スイッチには2つの操作モードがあります。

まず一つは、オン/オフ・モードです。
アンプ・オンとバイパス(アンプ・オフ)を切り替えるモードです。
アンプをオンにするとフット・スイッチのところのLEDが青色に点灯し、オフにすると消灯します。

ファクトリー・プリセットではこの状態になっています。

フット・スイッチの操作モードを変えるには、フット・スイッチを長押しします。するとスイッチ周りのLEDが点滅するので、そうなったらもう一度フット・スイッチを押してください。するとLEDが赤く点灯します。これでモードが変わりました。

もう一つの操作モードは、チャンネル切り替えモードです。
クリーン・チャンネルと歪みチャンネルを切り替えて使う為のモードです。
フット・スイッチを踏む度にクリーン・チャンネル(青いLED点灯)と歪みチャンネル(赤いLED点灯)が切り替わります。

このモードでは、バイパスすることはできません。

キャビネット・シミュレーターはオン/オフが可能ですので、、使い方に合わせてあらかじめオンにするか、オフにするか決めて設定しておきましょう。

6.キャビネット・シミュレーター

内蔵のキャビネット・シミュレーターを使えば、直接ミキサーにラインでつないだり、PAシステムにラインで送ったりできます。
ギター・アンプのインプットにつなぐ場合やセンド&リターンにつなぐ場合には、キャビネット・シミュレーターはオフにします。

フット・スイッチとSAVEボタンを同時に押すとキャビネット・シミュレーターがオンになりSAVEボタンが点滅します。

オフにしたい時にはフット・スイッチとSAVEボタンを同時に押してください。SAVEボタンが消灯します。

キャビネット・シミュレーターだけを使いたい時には、キャビネット・シミュレーターをオンにした上でオン/オフ・モードでアンプをオフにしてください。

7.SAVEの方法

ツマミを回してLEVEL(音量)、GAIN(ゲイン入力音量)、BASS(低音域)、MOD(中音域)、TRE(高音域)の各レベルを調性できます。
調整した各チャンネルの設定は各プリセット・スロットに保存できます。

中央にあるSELECTボタンとSAVEボタンは同じボタンです。

いずれかのツマミを回して既に保存されている設定に変更を加えるとSAVEボタンがゆっくり点滅します。
変更した設定をSAVE(保存)したい時にはSAVEボタンを長押ししてください。すると変更が保存され速く点滅して保存が成功したことを示します。その後点灯に替わります。

保存したくない時には、SELECTボタン(SAVEボタン)を短く押せば次のモデリング・アンプに切り替わり、変更した設定は失われます。

この時に注意したい事は、ツマミの物理的な位置です。
アンプを切り替えると各ツマミの値は保存された設定が読み込まれますが、ツマミの位置は物理的には替わりません。ツマミがどんな位置にあってもアンプを切り替えれば各ツマミの電気的な値は変わりますから、ツマミの位置を見て音色を判断することはできません。
また、新たに音色を設定し直す時には、一度ツマミを左右に回してやるとリセットされます。そこから音色を聴きながらツマミを回して調整します。
アンプを切り替えたらまた同じ事をしてください。

8.7種類のモデリング・アンプと評価

FS06は、クラシックからモダンまでの7種類のアンプのモデリングが搭載されています。
しかもそれぞれはクリーン・チャンネルと歪みチャンネルの2チャンネル構成です。

以下に7種類のアンプ・モデリングに付いてのご紹介と私個人の評価を述べますが、既に沢山のYouTubeの試奏動画で歪んだ音色については評価されているのでここでは割愛して、クリーン・チャンネルの音色についてだけ評価します。

1.DELUXEBLUE(デラックス・ブルー)

Fender Blues Deluxeのモデリング・アンプです。
極微量の歪みが加わりクリーンにしても少しくすんだ感じのクリーンです。
シングル・コイルPUであればかなりクリーンになりますし、ハンバッカーであれば微量に歪みの加わった太いクリーンになります。バッキングにもクリーン・リードにも使える滑らかで落ち着いた音です。ポップスならこの音色が一番使いやすいでしょう。

2.AC31

Vox AC30のモデリング・アンプです。
ややロー・ファイなサウンドで歪み具合は1番のデラックス・ブルーよりも強い感じです。
クリーンからクランチまでカバーできるロック系の音色です。

3.CORALLEEF(コーラル・リーフ)

Two Rock Coralのモデリング・アンプです。
非情にすっきりしたクリーン・サウンドが得られます。低音が出過ぎず締まった感じがします。
高域もキンキンせずにマイルドでさわやかなクリーンです。ポップスや日本の歌謡曲の歌伴に向いています。個人的にはこの音色が最も使い易いと感じています。

4.Plex50(プレキシ50)

Marshall Plex50のモデリング・アンプです。
高域が強調されたブライトな音色です。やや歪みも強いですが、調整によってシャープなクリーンが作れます。
ロック系の音楽に於いてクリーン、クランチ、アルペジオ、コード・ストローク、オーバードライブ・リードとしてオールマイティーに使える音色です。

5.BLUE EYE100

Friedman BE-100のモデリング・アンプです。
中低域のしっかいしたややくすんだ音色です。
歪みもかなり強くロックにしか使えない感じです。

6.MB5TH GEN

Mesa Boogie MarkⅤのモデリング・アンプです。
中低域が充実していて太く滑らかな音色です。
R&B、SOUL、バラード、ポップス、ジャズ・フュージョンにも使いやすいクリーン・リードです。日本の歌謡曲にも使えるでしょう。高域にカチンとする嫌な部分がありません。実に滑らかです。

7.HVE5151

EVH 5150のモデリング・アンプです。
かなり歪みが強い、しかし低域から高域までバランスが良く抜ける音です。7種類の中では最も歪みが強い音色です。ロック系の音楽に限る感じです。

さて、FS06の特筆すべきは歪みではないと思います。
歪みの音色は各メーカーがしのぎを削って競争していますが、どのメーカーも素晴らしい音色を作っています。
つまりあまり差がないと思うのです。しかしながらクリーンとなるとなかなか使える音がありません。
特にデジタルのモデリング・アンプのクリーンは、どこかザラつきがあったり、ギザギザした感じがあって本物の真空管アンプのクリーンと比較すると滑らかさに乏しく、演奏していて気持ちよくありません。
ところが、このフランマのFS06は実に滑らかなのです。どの音色も滑らかで高域のザラつきやイガイガが無く気持ち良く感じるのです。
これは凄いことです。
歪みの音色もこのクリーンを基にしているわけですから悪いわけがないと思います。
このクオリティの機材が1万円以下で手に入るのですから驚きです。

9.接続形態

最後にこのFS06をどんな風に使うかについて述べます。

①ライン録音に使うプリ・アンプとして

これが最も普通の使い方だと思います。
キャビネット・シュミレーターをオンにしてミキサーやPCにつないで使います。

②歪みペダルとして

プログラム可能な歪みのエフェクターとしてエフェクト・ボードに組み込んで使うのも良いでしょう。この場合はキャビネット・シュミレーターをオフにしてください。

③ライブでのプリ・アンプとして

ライブ会場にあるアンプのセンド&リターンのリターンに差して使います。
この場合はキャビネット・シュミレーターをオフにしてください。

④キャビネット・シュミレーターとして使う

これはあまりメインの使い方ではないと思いますが、キャビネット・シュミレーター機能を持たない他のプリ・アンプを使ってライン録音したい場合などにキャビネット・シュミレーターとして使うことができます。
オン/オフ・モードでアンプをオフにした上でキャビネット・シュミレーターをオンにしてください。

⑤マルチ・エフェクターやサウンド・プロセッサーと組み合わせる

 

例えばBOSSのGT-1000の場合、内蔵のモデリング・アンプをオフにして、FS06をセンド&リターンのループに接続します。
そして、歪みも含めてエフェクト処理はGT-1000で処理します。
これでユーザー・プリセットの1~5までをすべて同じFS06のプリ・アンプに統一してしまうのです。
そして各音色の違いはGT-1000内蔵のエフェクト処理の仕方や追加するEQなどで変化を付けるようにします。
こうしておけば、GT-1000のエフェクト処理はそのままで、外部のFS06のプリ・アンプだけをジャンルに合わせて変えることによってジャンルに相応しい音色にすべてのパッチが一瞬で変わるのです。
例えば、歌謡曲やポップスなら3番のCORALLEEF(コーラル・リーフ)に、セッションなどで洋楽をやるなら1番のDELUXEBLUE(デラックス・ブルー)を、ロック系のポップスなら4番の.Plex50(プレキシ50)を選び、ジャズやバラードなら6番のMB5TH GENを、激しいロックなら7番のHVE5151を選ぶというようにするのです。
こうすれば音色の傾向性が一気に変わるのでGT-1000はそのままでFS06のアンプを変える事で簡単に色々なジャンルに対応できます。
皆さんも是非試してみてください。

ただフランマの歪みに関しては少し帯域が狭い感じがします。
GT-1000のプリアンプとエフェクターで作った歪みの方が、高域が出ていて音抜けが良いと思います。フランマの歪みは単独で聴くととても良い音ですが、空気感などと言われる高域が足りない感じがします。天井の低い音とでもいいましょうか、高域が不足していて透明感が足りないと思います。もしかしたらバンドの中では抜けないかも知れません。
これはGT-1000などと比較して判ることです。
しかし、クリーンではあまりこの点が気にならなかったので、クリーンを基本にするパッチにはフランマをプリアンプとして使い、歪みを基本にするパッチにはGT-1000本体のプリアンプを使うことにしました。
やはり私としてはフランマはクリーンが最高だと思います。