コピーをすると個性が無くなると言われました。 コピーをすることにはどんなメリットがありますか?

2020.09.07


投稿者 Sさん

コピーをすると個性が無くなると言われました。
コピーをすることにはどんなメリットがありますか?
コピーはミュージシャンに必要だと思いますか?

矢萩秀明の答え

ギターを始めるきっかけはたいていの場合、誰かがかっこ良くギターを弾いている姿を見て「かっこいい!」と思い憧れることです。
ギターヒーローに憧れてその人と同じになりたいと思って真似を始めるわけです。
その事は純粋な動機だと思います。
私も学生の頃には、当時台頭して来たブリティッシュ・ハード・ロックに夢中になり、ギター演奏だけでなく服装やギターも真似をしたものでした。

アマチュア時代も音楽学校の学生時代もプロになってからもたくさんコピーしましたが、そのせいで自分の個性が無くなったとは思っていません。
なぜコピーをするのか?と言えば、それは他のミュージシャンの発想が、自分には無いものだったり、素晴らしいと感じたからだったり、どうなっているのだろう?と興味を持ったりしたからです。
コピーをしたからと言ってその人と同じにはなれないかもしれませんが、それが大きなヒントや示唆になることは確かです。

例えば、言葉の使い方を考えてみましょう。
私達は、幼くてまだ言葉を上手にしゃべれなかった頃から、親や兄弟の言葉を聞いて育ちました。そして、それを真似する事で言葉を覚え、会話する能力を身につけて来ました。人の真似をして言葉の使い方を学んだのでお互いに共通の言葉を使ってコミュニケーションが取れます。言葉を使って何かオリジナルな物事を表現したとしても、共通の言語を話す者同士なら理解出来ます。
しかし、もし幼い時から誰の真似もせずに独自の言葉を考え出して、そのまま大人になったらどうでしょう?その言葉は他人にはまったく理解出来ないことでしょう。

音楽もこれに似ています。
音楽を学ぶということは、先人達の発明を真似て自分のものにする事です。
演奏技術も音楽理論も表現方法も作曲法も初めは真似る事から始まっています。
それは古来から行われて来た最も正当な学習方法です。

もしコピーすることでその人の個性が無くなるなら、それはコピーが原因ではなく、その人が個性を育ててこなかったことに原因があります。

パット・メセニーがタモリ倶楽部に出演した時に、
ウエス・モンゴメリーのコピーをたくさんしたことを明かしています。
しかし、「あなたの演奏にはあまりウエス・モンゴメリー風のプレイはありませんね。」と言われると、「たくさんコピーして学んだが、私はウエス・モンゴメリーを大変尊敬しているので自分の音楽で彼の真似はしない。」と言うようなことを答えています。
パット・メセニーは多くのコピーをして勉強した上で、強烈な個性を放っています。
コピーは学びのためにするもので人に聴かせるものではないと私は思っています。
ですからもし私が誰かの曲を演奏するなら、コピーではなくカバーすることを選ぶと思います。コピーと言うのはオリジナルとまったく同じに演奏することですが、カバーと言うのは「私ならこの曲はこのように演奏する」と言うように自分の独自の解釈で演奏することです。題材は他人の曲でも演奏にはオリジナリティがあるようにするわけです。

耳コピーは初めは時間がかかるものですが、耳の鍛えにもなりますからたくさんコピーした方がいいと思います。頑張ってください!